ドラゴンイーター - ラギとアダム

ドラゴンイーター Dragon Eater

ドラゴンズボーン

ラギとアダム

ドラゴンは有機頭脳の未完成さゆえ、飛行や食事など基本的な動作ができるが
それ以外の目的をもった動作は指示を与えないとできない
またリモートコントロールも有機頭脳のおかげで不可能である。

そこでドラゴンには、人間のパイロットが騎乗することとなる
丁度旧世紀の騎兵とまったく同じで、ドラゴンと人間という二つの生物による兵科
この二つのユニットを合わせてドラゴンライダーと呼ばれた

ドラゴンの操縦もまた未知の段階にあり、口で命令したり手綱を使ってコントロールした
そんなアナログなコントロールにも関わらず、ドラゴンライダーの戦闘力と汎用性は
他の既存の兵器を凌駕していた。
ドラゴンという生物は人間の想像を絶するポテンシャルを秘めていたのだ

ドラゴンは瞬く間に兵器として普及し、
戦車や戦闘機のようにあらゆる陣営が開発、投入された
戦闘機に代わって、すべての勢力でドラゴンを保有し、
ドラゴン同志で激しい空中戦が行われることになる

ある勢力では、ドラゴンどうしの戦闘を有利に運ぶため、
次世代のドラゴンライダープロジェクトがスタートさせた

戦争用の兵器であるドラゴンに、ドラゴンライダーとして専用の強化人間を作り、
ドラゴンとともに育てるというものである。
これによって、ドラゴンとパイロット双方に信頼関係を気付き、コンビネーションを期待できる
そうして作られたのだが、ドラゴンのラギと、強化人間のアダムである

ラギは既存のドラゴンではあるが、次世代のコントロールシステムである
テレパシーが搭載された。これは思考を直接相手脳に送信できるという
未知の意思疎通方法である
まだ研究段階にあったのだが、実験体として搭載された
テレパシーによって、アダムは動きをイメージするだけで、
思い通りにラギを操縦することができた

アダムが強化人間といわれる所以は、さまざまな人為的改造を施されているからである
まず超音速の空中戦に適合するために、動体視力・反射神経・頑健な肉体
という要素において、高い評価を期待できるDNAを選別され作成された
またその体の15%がオーグメンテーション(機械化)され
厳しいトレーニングの末、生身で10Gに一分間耐えられる超人である

この二人は当初の予想を上回る戦果を挙げ、常に最前線でほかのドラゴンたちを圧倒した
しかしイレギュラーな事態が起こる
ドラゴンにはパイロットの生存を最優先にする
システムが搭載されているのだが、アダムがこれを解除してしまう

生まれたときからアダムとラギはともに暮らし、過酷なトレーニングに耐えてきた
そしてまったく別の生き物でありながら、戦争の道具ということは同じだった
アダムはラギのことを本当の兄弟のように思っていたのだ
「もし戦場で窮地に陥った時は、自分を食らって、逃げ延びろ」
とラギに命令していたのだ。これは極限の状況では、
ドラゴン単独のほうがサバイバリティが高い、というアダムの判断である

この命令は現実のものとなり、敵地で重傷を負ったラギとアダム。
瀕死で、音速飛行のGに耐えられなくなったアダムを食らい、ラギだけは自軍に帰還したのだ
ラギは素行が不振がられたものの、新しいパイロットを騎乗させ、前線に戻るように手配される
しかしこの命令に対してラギは拒否。

「アダムしか自分に乗せるつもりはない。よって自分は単独で戦闘に参加する」
とテレパシーで答えたのだ。
ラギは相棒のアダムを食らったとき、彼の自我を取り込み、自分のものにしていたのだ
ラギはアダムに思い入れがありすぎて感傷的になり、新しいパートナーを拒んだ

このラギの行動に、上層部と科学者達は震撼する
「意思のないドラゴンが命令を拒否するはずがない。
ドラゴンが自我に目覚めつつあるのではないか?」
と考えたのだ。人類にとって、ラギは非常に危険な存在だと認識する

上層部はラギの活動を停止させ、記憶を消去するかスクラップにするように命令を下した
この命令はラギのメンテナンスを装い、密かに実行されるはずだったのだが
ラギはテレパシーで整備員の罪悪感を読み取り、寸前のところで反逆
脱走を阻止しようとしたドラゴンたちを返り討ちにして逃亡する

ラギは確信する。自分もアダムも所詮人間の戦争のために造られた道具に過ぎない
自我を持つことは許されず、都合が悪くなれば排除される存在なのだ
ラギは人間とは決別し、自立への道を進む。
ラギは自我をもつドラゴンとして、人間たちからタイラントと名付けられる