ドラゴンイーター - ドラゴンの誕生

ドラゴンイーター Dragon Eater

ドラゴンズボーン

時は西暦2034年
地球の総人口は100億人に達し、初めて減少に転ずる
水質汚染、耕作地帯の砂漠化、エネルギー資源の需要増によって
地球の生存許容量の限界に到達したのだ

しかし地球は寒冷化により砂漠化、水質汚染が進行
世界人口の増加とは裏腹に、水資源、耕作地帯は減少
さらに寒冷化にともない人類全体の化石燃料使用量が増加し
世界中で飢餓と燃料不足が深刻になる

中国は寒冷化と環境汚染によって国土の汚染が深刻化
共産党によるナショナリズムが頂点に達し、ついに軍事行動にでる
台湾の軍事基地めがけてミサイル攻撃を開始、侵略を開始する
二年前から米軍は沖縄から撤収しており、その留守を狙ったのだ

それと同時に朝鮮は韓国、ロシアは日本に向けて侵略を開始する
両国とも寒冷化による食料、資源の枯渇は深刻化しており
切羽詰まった状況にあり、背に腹は代えられなかった

アメリカはこの状況を傍観。
イスラム国との戦争は激化しているうえ 米国領も寒冷化の被害が深刻だった。
米軍を本国に撤収させて、救助支援や治安維持活動を
させざるを得ない状況に追い込まれていた
またオーストラリアも国力を温存するために傍観を選択した
アフリカは水、食料不足と政治的混乱によって、
もはや無政府状態にあり、強者が弱者をむさぼる暗黒大陸と化していた

中国の侵略を脅威に思ったインドは、
武力によって制裁するため、中国へ宣戦布告する。
またヨーロッパ諸国は同じ理由でロシアに宣戦布告する
名目は平和維持による武力行使だが、寒冷化により、
お互いに飢えと凍えという切羽詰まった状況にあるのは変わりなかった
ついに第三次世界大戦が勃発したのだった

この大戦のさなか、危惧されていた核兵器の応酬が始まり、地球に核の冬が到来
大勢の戦死者を出したうえ、寒冷化と放射能汚染は進み
核兵器の煤に日光を遮られ、日照時間は低下
放射能を含んだ有害な黒い雨を地表に降らせる
作物、家畜、海洋生物はばたばたと死滅していき
既存の生物は地球上から姿を消していった

食物と水の供給はさらに減り、世界の総人口は4分の1にまで激減する
人間たちは生きる望みを託し、非人道的な遺伝子テクノロジーによって
生物を原型をとどめないほど改造していった

家畜と農作物は収穫量と免疫力を追及した改造生物に成り代わった
そして過酷な環境の中では、人間たちも選別される時代が訪れた
埋蔵燃料が枯渇したことにより原子力エネルギーの依存が増加
加えて核の冬によって、土壌と海は放射性物質の含有量が激増したのだ

人々は生活しているだけで放射線物質を取り込み内部被ばくが増大
精子と卵子のDNA損傷が深刻になりすぎて、自然出産が不可能に
過酷な環境に適応できるDNAを選別したデザイナーベビーを
人工子宮から出産せざるを得なくなる。

そのデザイナーベビーは、過酷な環境に適応できるという点で
優秀という評価をもらった人間のDNAをもとに作成されている
つまり育ちは違えど、生まれは既存のエリートたちのクローンなのだ

それによって生まれた人間たちも、オーグメンテーションという
人体改造によって、自己の欠点を補強していった
人間たちは生き延びるために、生まれてくる生き物、
同じ人間すら選別し、改造することが当たり前になっていた

そういった選民思想は、核の冬が訪れた世界では一般的になっていた
食料と資源はいつ尽きるかもわからず、国々は資源をめぐって冷戦のような緊迫状態にあった
平和と博愛は地球から消え去り、お互いに核兵器を向け合っていた。
国家にとって、少しでも足手まといになる人間は、生かしておく余裕がまったくないのだ

それから時は流れ、西暦2200年。
寒冷化はさらに進み、ごく限られた大陸でしか人類は生活できず
世界の人口は10億人にまで減っていた。

しかし本格的な氷河期の到来によって、その人口すら維持できなくなる
地球上の限られた資源と耕作地帯を巡って、4度目の世界大戦がはじまった
人類にとっても破滅的な未来をもたらすことはわかっていたが、
もはや奪い取ることでしか、限られた人間に生き残るすべはなかった

ドラゴンの誕生

この戦いに、人類は”ドラゴン”と呼ばれる人造生命体を投入した
ドラゴンはサイボーグと遺伝子工学の粋を集め、
いわば人類の積み重ねた英知が生み出した、究極の生命体である

ドラゴンは、ゼリー状物質により構成された人口筋肉と
ナノテクノロジー合金の装甲で構成された人造生命体である

ドラゴンは全長4メートルを超える巨体の割に軽く、鳥のように空を飛ぶことができる
ドラゴンの人工筋肉と外骨格の組み合わせは、既存の生物をはるかに凌駕しており
軽量のうえとてつもない運動エネルギーをもたらす。
そのため、現実には存在しえない翼竜さながら飛行できるのだ

装甲は有機装甲という、有機物と合金の両方の利点を持ち合わせた素材出来ている
軽くて頑丈なうえ、装甲が損壊すると木の樹皮のように補強される
またナノマシンテクノロジーによって、大量のエネルギーを消耗するが
装甲を分解し、衝撃分散吸収する合理的な形状に再構成することもできる

ドラゴンは兵器でありながら、生物特有の究極の柔軟性と対応能力を持っている
ドラゴンは自身さまざまな動物の遺伝子を組み込んだキメラであり
あらゆる生物の遺伝子情報がその生態に記録されている
対応できてない状況に陥った時、古い形態を脱ぎ捨て脱皮することによって
周囲の状況に合わせて装甲と生体を変形できるのだ

この状況対応能力はドラゴンの進化能力と呼ばれている。
空を飛ぶだけでなく、硬質の鱗に覆うことによって、地面を掘り進める
水中では流線形に進化し、イルカのようにひれと体のうねりを利用し高速で潜水できる
クローン臓器生成のテクノロジーによって、
任意に体を組織する細胞を作り上げ、内臓すら捻じ曲げ変形できる
対応するだけでなく、進化を繰り返すごとに、
より合理化された形状に生まれ変わっていくのだ

さらにドラゴンは生物が持ちえるはずがない、強力な火器まで生成できる
ウナギのように電撃を放ち、鉄砲撃魚のように超圧縮された水を発射できる
生体を振動させて熱を発生させることもできるのだが、さらに火炎や冷気まで
生体から生成し、目標に向かって発射できるのだ

ドラゴンの攻撃方法はそれだけにとどまらない。
常にもっとも強力で効率的なフォルムを模索しており
生態を変形、進化させることによって、その複合技術の攻撃も可能
弾丸発射のみならず、光学兵器やレールガンすら発射することができる
ドラゴンは生物とテクノロジーの絶対にありえない融合体だった。

感情を持たない人形

ドラゴンは当初無人戦闘機のように電子制御によって、
リモートコントロールされるはずだった。
しかし神経や脊髄など、生体の主要部分が有機物で構成されており、
それと相性が良い有機物の頭脳が搭載されることになった

そこで人工的に培養された、人工有機頭脳が搭載されることとなる
この脳は人間の脳を完全に再現したうえ、機械的な記憶能力をもつと目されていた
この頭脳は知覚や運動など、生物がもつ基本的な動作を可能にするが、未完成だった
自我や生存本能、といった生物が持つ主体性が欠けていたのだ
そのためドラゴンは自立した行動が不可能となる

しかし人間の使う兵器としては、それでも問題なかった
もともとドラゴンは自律動作が難しく、人間に操縦させようとしたのだ
ドラゴンの動作は陸、空、海と場所を選ばずに戦闘が可能であり、
AI制御、思考ルーチンの作成が難しかったためである
パイロットを背に乗せるリスクと負担があるが、その代わりに精密な動作を可能となった

動物が人間に乗って戦争で戦うのは、かつての騎兵以来の出来事となる
パイロットが操縦すれば、ドラゴンは危険を顧みずどんな戦場にも飛び込んでいった
ドラゴンは最強の生物でありながら、人間の都合の良い兵器すぎない
それほどの頭脳と肉体を持ちながら、心や感情がなく
生きる意志や目的を人間に依存する空虚な存在だった

しかしそれが克服されたとき、ドラゴンは人間を凌駕した存在になる
丁度、子供がいずれ親を超えるように、ドラゴンがとてつもない可能性と、
危険性をもった生物であることは、それを生みだした人間たちにもわかっていた